手関節の解剖と運動学 ― 橈骨手根関節・手根中央関節の構造と役割

今回のイラストは、橈側手根関節と手根間関節を構成する骨と名称を整理した解剖図です。手関節の構造を正確に把握することは、運動制限や疼痛の評価を行う上で欠かせません。

 

手関節の解剖と運動学 ― 橈骨手根関節・手根中央関節の構造と役割2

 

<構成要素・関節形状・特徴>

橈骨手根関節は、前腕の橈骨と手根骨の近位列によって形成される楕円関節です。特徴を以下にまとめます。

  • 構成要素:橈骨の遠位端+関節円板(近位側)と、舟状骨・月状骨・三角骨(遠位側)
  • 関節形状:楕円関節で二軸運動が可能(屈曲・伸展、橈屈・尺屈)
  • 特徴:尺骨は関節円板を介して間接的に関与し、直接は結合していない

手根中央関節は、手根骨の近位列と遠位列の間に位置する複雑な関節群です。

  • 構成骨:舟状骨・月状骨・三角骨(近位列)と、大菱形骨・小菱形骨・有頭骨・有鉤骨(遠位列)
  • 関節面の形態:有頭骨と有鉤骨の凸面、舟状骨・月状骨・三角骨の凹面が噛み合う球関節様構造
  • 安定性:掌側・背側の手根靱帯が支持
  • 機能:橈骨手根関節と協調して滑らかな手首運動を実現

<解剖的・臨床的ポイント>

橈骨手根関節と手根中央関節は、手首の複雑な動作を協調的に制御する主要な関節です。臨床・教育の両側面から、以下のように整理できます。

橈骨手根関節のポイント

  • 手関節の屈曲・伸展・橈屈・尺屈の大部分を担う
  • 橈骨遠位端骨折、舟状骨骨折、月状骨壊死(キーンベック病)などの影響を受けやすい
  • リハビリでは、骨折後の可動域改善や安定化訓練の中心対象となる

手根中央関節のポイント

  • 巧緻動作や橈屈・尺屈動作に関与
  • 多数の靱帯によって安定するが、不安定性も起こりやすい
  • 損傷時にはクリック音や違和感を伴う手根不安定症が発生

両関節の協調運動

  • 背屈動作:橈骨手根関節 → 手根中央関節の順に動く
  • 掌屈動作:手根中央関節 → 橈骨手根関節の順に動く
  • 両者の連携不全は、手首全体の動作制限や痛みの原因となる

<イラスト素材の活用>

教育現場では、手関節構造の理解を促す教材として。臨床現場では、評価や症例検討の補助資料として活用できます。特に学生指導では、運動軸や隣接関節の連動を視覚的に説明する際に有効です。

複雑な骨構造を一目で把握できる本図は、学習・指導・臨床すべての現場で基礎理解を支える教材として役立ちます。
今回ご紹介したイラストは、リハアートの公式ページでもご確認いただけます。詳しくはこちらからご覧ください。

 

投稿者
福山真樹
イラストスタジオ福之画代表
理学療法士
メディカルアナトミーイラストレーター
オリジナルイラストをお求めの方はイラストスタジオ福之画へ問い合わせください
イラストスタジオ福之画HP:https://fukunoe.com/

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